ステントグラフトによる治療~胸部大動脈瘤⑤~

大動脈瘤の原因が解離の場合は、原則的にステントグラフトは使用できません。解離した弱い血管にステントグラフトを挿入すること自体に危険性があり、ステントグラフトを入れた場合の効果も証明されていないからです。当センターでも特殊な場合を除き適応としていません。欧米を中心に大動脈解離症例にもステントグラフトを使用した治験が行われている段階です。治験の結果をふまえ、今後適応を考えていきたいと考えています。

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ステントグラフトによる治療~胸部大動脈瘤④~

現在の技術では胸部ステントグラフトで使用するカテーテルは太く、細い足の血管からは挿入することができないという場合があります。体型が小さな日本人は足の血管も細く、胸部大動脈ステントグラフトの約4割は足からの挿入が困難と言われています。挿入困難ではあるが胸部手術はリスクが高いと判断した場合は、場合により開腹し腹部の太い血管からステントグラフトを挿入する、少しでも細い自作のステントグラフトを挿入する、手術とステントグラフトの併用(open stent)等の方法も考慮いています。

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ステントグラフトによる治療~胸部大動脈瘤③~

腹部では15mm程度必要とされる正常部分は、胸部の場合は血管径が太く血流が非常に多いため20mm程度は必要とされています。ただし当センターでは手術治療が非常に危険と判断される場合には、脳に分枝する血管にあらかじめバイパス手術を行う(debranching法)、手術とステントグラフトを併用する(open stent法)等の方法も考慮いています。

 
 
 
 

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ステントグラフトによる治療~胸部大動脈瘤②~

胸部大動脈の中でも臓器に分かれる枝がない下行大動脈部分ではステントグラフトは非常によい適応となりますが、上行大動脈、弓部大動脈など心臓に近く、脳に分枝する血管がある場所ではステントグラフトは原則的に適応となりません。ステントグラフト治療の原則は動脈瘤の前後にステントグラフトを固定する充分な正常大動脈が必要だからです。

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ステントグラフトによる治療~胸部大動脈瘤①~

胸部大動脈瘤手術は腹部大動脈瘤に比べ手術の難易度が高く、患者さんへの侵襲(負担)も大きい手術です。ステントグラフトによる負担の少ない治療が可能であれば、患者さんは大きな恩恵を受けることができます。ただし腹部大動脈瘤に比べていくつかの問題があります。

  • 弓部など脳を栄養する血管が分枝していて場所により留置困難。
  • 腹部大動脈に比べ血管が太い、そのためステントグラフト自体が太いものとなり、足の付け根の細い血管からでは挿入できない。
  • 解離性の大動脈瘤には原則使用できない。

以上のような問題点があります。

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クリスマスツリー

もう、デパートやホテルなど、クリスマスのデコレーションになる時期がきました。クリスマスツリーを飾っている家も多いのでは?川崎大動脈センターでも、クリスマスツリーを飾りました。エレベーターの横に、設置しました。ピカピカとライトもつけて。飾りつけは、患者さんと一緒にする予定です。クリスマスって大人になってもワクワクしますよね(^o^)

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ステントグラフトによる治療~腹部大動脈瘤⑥~

以前のブログで記載した解剖学的条件は大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2006年改訂版)から一部改変したものです。数値は製品により異なります。正常部分が若干短くても適応できる製品や、屈曲に強い製品など各企業製品には特徴があり、患者さんの条件に応じて製品の選択をしています。場合によっては自作ステントグラフトで対応する場合もあります。

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ステントグラフトによる治療~腹部大動脈瘤⑤~

適応基準を簡単に説明すると、動脈瘤の前後に正常な部分が充分あること、屈曲、蛇行が強くないことです。動脈瘤の前後に良い血管がないとステントグラフトの固定が悪く、せっかくステントグラフトを入れてもすき間から血液がもれ(エンドリーク)動脈瘤が拡大、破裂する危険が出てくるからです。

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ステントグラフトによる治療~腹部大動脈瘤④~

一般的な腹部大動脈瘤ステントグラフト治療の適応基準は以下の通りです。

身体的な適応基準として

  • 過去に開手術の既往があり、癒着により手術が困難と予測される場合。
  • 心疾患、呼吸器疾患、脳血管疾患等のため開腹手術が危険と判断される場合。

解剖学的な適応基準として

  • 腎動脈下腹部大動脈瘤
  • 腎動脈下大動脈に正常大動脈15mm以上
  • 60度以下の屈曲
  • 総腸骨動脈の拡大15mm以下
  • 腸骨動脈の正常部分の長さが10mm以上

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ステントグラフトによる治療~腹部大動脈瘤③~

今後もますます技術が進歩し成績が向上することが期待されます。ただし、手術治療が50年以上の歴史があるのに比べて、現時点でのステントグラフト治療の歴史は10数年程度であり、20年、30年といった長期の成績は不明です。また、ステントグラフトは動脈瘤の解剖学的特性によりその成績が影響されるため、解剖学的適応基準に準拠することが使用の条件となっています。

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